独裁心中

せとらえとの子宮。掃溜の思考と考察、ホラーショートショートを綴る。

中絶ピアノ

ピアニストになるはずだった。

勉強で上位を取り続けたのもその為。

行きたい大学のピアノ科の為。

あの時死ねば良かった。

むしろ歳を重ねるごとに水子が将来の夢だった。

それも叶わないね。

 

病気になり幼い頃から親と約束した目指したピアノ科も受験すら出来ず入退院繰り返して廃人になった私を優しく罵倒して否定して笑ってくれよ

 

10年以上ブランクをあけ去年再開したピアノ。

今は手元に66鍵しかなく人生を変えてくれた得意だと思ってるショパンも必死に食らいついた大好きなリストも弾けない。

88鍵は訳ありでまだ引き払ってない埼玉のアパートにぽつりと。音を鳴らす人もいないまま。

関西の実家にはアップライトピアノが二台。

物理的に弾けもしない距離のピアノ。

母親がまともに弾けなかったおさがりのアップライトピアノ

高校時代自分が初めて自力で買った真っ赤な電子のアップライトピアノ

前者だけは売るくらいなら焼き殺して。

 

もう一生ピアノコンクールに出れる事もない。

そんな事ないよ、年齢なんて関係ないよ、とか余計な声をかけないでくれ。

行きたい大学行けなくて悔しすぎてヤケクソで軽率に入った音楽の専門学校なんか3日でやめたわ死ね。

 

でも今ピアノ弾きながら歌うの楽しいし楽しい。

バンド一緒に組もうとしてくれてる子も楽しいし楽しいし愛しかないよ。

 

散文?戯言?いや、負け犬以下だね。

とくにまとめも言いたいこともないけど、自分と過去の保護者で決めた寿命の30歳まであと5年もとっくにねえけど、しわくちゃでしみまみれで腰ひん曲がった老後にショパン小さな一戸建てで一人弾けてたら自分を初めて美しいと思えるよ。