独裁心中

せとらえとの子宮。掃溜の思考と考察、ホラーショートショートを綴る。

【小説】ノボリボウ

「お空に昇ろう」

そう言って俺はこの妊婦のへその緒を抜いてから食べた。
いろんな意味で食べた。
「あゝ不味い早よ死ね不味い早よ死ね不味い早よ死ね...」
いろんな意味で妊婦はイッた。


俺は食べ終わると今日もまた進化し、空へと昇る準備が整っていくのだ。
そう、俺は空に昇りたい。
だから日々妊婦のへその緒を抜いて食べてイかせる。

そんな事をして空に昇れるのかって?
出来るさ、俺には計画があるのだ。

まず俺はヒトでは無いからお前らが出来ない事が出来る。
お前らが出来ない発想も出来る。
エジソンピカソも俺が殺した。
そして俺は妊婦と中の子も食うから日々栄養満点でパワフル。
頭も回転速度を増していくばかりだ。

ところで、抜いたへその緒を何に使うかって?
俺はへその緒を繋げてノボリボウを作っている。
空に昇るために。
どうだ?お前らにこんな事が思いつくか?へその緒で空に昇れるか?
無理だな。所詮お前らはヒトだもんな。臭え奴ばかりだ。
無力で、一人じゃ何も出来ず、一人じゃ寂しくて死んじゃうような底辺だもんな。
それに比べて俺は一人で!空に昇れる手段を!手に入れて!現実になる!なる!な


れたらいいな、よかったな。


俺は唐突に酷く肥えた身体を自身で抱き締めた狂ったように泣き喚いた。
その後、集めた1313本のへその緒を抱き締めた。
「お母さん、お母さん...うう...」

俺も本当は所詮はただのヒトなのは分かっていた。
その現実を最後まで見て見ぬ振りをする事は出来なかった。知っていた。
結局俺も無力で、一人じゃ何も出来ず、一人じゃ寂しくて死んじゃうような底辺だと。

ただ誰かの特別でありたかった。
お母さんに愛されたかった。
お母さんに会いたかった。
お母さんから生まれたかった。